売上逃さない在庫管理の仕方(小売・飲食・食品事業者向け)

①在庫管理の必要性
・小売店における過剰在庫は、売れるまで仕入れコストを回収できません。
・飲食店の場合、食材ロスは、コスト上昇で利益を削ることになります。
・「売れないかも?」を意識しすぎると、旬の商材の仕入れをケチるなど、お店の品揃えやメニューの魅力が失われます。
・品揃えやメニューを渋ると、買いたいお客様が来店しても、販売出来ないことになり、機会ロスになります。

②在庫管理の勘所
在庫管理の勘所は、「売上を逃さ無い程度に」「ロスを出さない程度に」「適切なタイミングで」必要量を発注することです。

③適正な発注数(量)を求める方法
まずは、どのように求めるのかの概念を頭に入れておく必要があります。算出式は次のとおりです。
発注数(量):仕入れ数(量)=適正な在庫数(量)ー現在の在庫数(量)ー既に発注済みの数(量)

算出式の中の「現在の在庫数(量)」と「既に発注済みの数(量)」は、管理する中で「知っている」数字です。ですから、「適正な在庫数(量)」を知らなければ、発注数(量)を決めることが出来ないことを認識してください。

④日々の増減を確認する
日々、仕入れ数、在庫数を確認し記載するようにしましょう。飲食店等の賞味や消費期限がある在庫を持つ事業者は、この期限のチェックも忘れないで行います。概念的な雛形を用意しました。こちらを参考にチェックするようにしてください。仕入れ数から在庫数を引けば、どのぐらいお客様に販売したか(消費したか)が一目瞭然になります。
久保正英 中小企業診断士.jpg

⑤販売予想数(量)を検討する
「日々の増減を確認」し、どのくらい販売できそうか(消費しそうか)の予想を立てる癖をつけていきます。その際、予約販売状況や気温や天気、曜日、月々の季節変動、イベントなども加味して予測するようにします。
おおよその販売数の予測が出来たら、「適正な在庫数(量)」を求めることができるようになります。

⑥適正な在庫数(量)を求める
具体的には次のステップを踏むと「適正な在庫数(量)」がわかります。
⇒ステップ1 過去の実績から1日分の使用量を出す
季節変動が少ない店であれば、一定期間(3ヶ月以上)の平均値で充分です。季節変動が大きい店では、昨年同月の数値を使います。

⇒ステップ2 発注から納品までの所要日数
何日分の発注をまとめて行うか、発注の間隔です。仕入れ先からの納品期間(発注後納品されるまでの日数や時間)も含めて考えます。

⇒ステップ3 適正な在庫数(量)
ステップ①にステップ②をかけた分の20%程度で考えると良いです。
例)玉ねぎ 1日使用量 3kg 4日分の発注を行う場合。
  3kg×4×20%=2.4kg
  12kg+2.4kg=14.4kg 適正在庫量14.4kg

なお、管理が慣れてきたら、ブレが少ない正確な予測ができるようになりますので、
その場合は10%などに設定を変更していくことが理想です。

⑦適正な発注数(量)を実際に算出してみよう
⑥で適正な在庫数を算出できるようになりました。③と④で「現在の在庫数(量)」「既に発注済みの数(量)」が管理できるようになったはずです。あとは、②の算出式に導入するだけです。

⑧決まった手順で発注する
発注においては「決まった手順」が大切です。決まった手順とは「発注の際に使用するツールが変わらない」ということです。事前に仕入先と同意した発注の仕方を継続する必要があります。
常々FAXですが、稀に電話で発注、常々メールで発注だが稀に電話で発注といった具合では納品ミスを誘発するだけです。

⑨決まったタイミングで発注する
発注ミスを防ぐため決まった時間に決めた手順で発注するようにします。 決まった時間とは、1日の営業時間内で(1週間の営業日で)1番効率が良い時間を探すことです。概ね、営業終了後か営業終了間近(休業日の前日)になることが多いです。仕入先の営業時間内(営業日内)に発注できるかも重要です。
この2つの視点で、発注する時間を決めるようにします。

⑩棚卸は必ず実施
在庫管理の原則ですが、定期的に棚卸を実施してください。月1回は棚卸を行いたいところです。在庫数の確認はもちろんですが、品質も同時に確認しましょう。棚卸は一般的に、月末の締めのタイミングで行います。これが可能になると、月次の損益計算、売上原価の計算が出来るようになります。

⑪棚卸の方法
⇒棚卸表を準備する
・チェックする商品名や材料名等は先に記載して印刷しておくと漏れがありません
⇒数量を調べて記入する
⇒商品や材料それぞれの単価から金額を計算し、売上原価を確認
 可能であれば、働いている方々全員で取り組むことがポイントです。
作業に携わることで「在庫=お金」の認識が生まれ、ロスを減らすことができます。

⑫帳簿上と実際の棚卸高の差異の確認
帳簿上とのズレがあれば原因究明をしてください。とくに、帳簿上の在庫と棚卸の結果(=実在庫)が0.5%以上ずれていたら危険な状況です。思わぬところで「お金が減っている」と考えてください。以下は飲食店を例に、差異の原因で「よくある」ものになります。

・発注量と入荷された量が違う
・廃棄した食材を帳簿に書いていない
・従業員による不正(食材の持ち帰りや大量の味見)
・オーダーミスや調理ミスが多い
・規定量以上で商品が提供されている(オーバーポーション)
・盗難被害
・棚卸時のカウントミス
以上のように、棚卸高や在庫数を確認したら、月初の「現在の在庫数」に反映させてください。

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==久保正英プロフィール==
≪一般社団法人エコ食品健究会 代表理事 / 経済産業省登録 中小企業診断士≫
加工食品企業や飲食店のマーケティング戦略立案と実行支援(商品・販路等)を直近5年で63社に実施。個人や小規模事業者の支援は専門家派遣事業も含めて直近5年では350社(当事務所スタッフ含む)にのぼる。
応援されて集客(応援客獲得の販促や商品化)できる仕組み(売上を獲得する仕組み)が好評で、ロッテ・湖池屋・カルビー・イトーヨーカ堂・明治製菓・三河屋製菓、カネタツーワン、ユニバース、ヤマザワ、平和堂、天満屋ストア、サミット、日生協等の支援実績を公表している。
≪主な委員歴≫
『農水産物の環境情報表 示の在り方検討会(農林水産省2014年~)』
『CO²の見える化 消費財分科会(環境省~2013年)』
『小規模事業者支援人材育成支援事業」に係る平成30年度 事業推進委員会(全国商工会連合会・中小企業庁)』
≪主な受賞歴≫
2016年 中小企業庁長官賞受賞(中小企業経営診断シンポジウム)
→中小企業診断士 久保正英の中小企業庁 長官賞受賞論文はこちらへ⇒クリック
2013年 中小企業診断協会 会長賞(中小企業経営診断シンポジウム)
2012年 フード・アクション・ニッポン販売促進・消費促進部門 入賞(社)エコ食品健究会)
≪主な著書≫
「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ(同文館出版)
飲・食企業の的を外さない商品開発(カナリア書房)
著書についてはこちらへ(1冊目クリック)(2冊目クリック

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